しろくま

スパイダーマンのしろくまのレビュー・感想・評価

スパイダーマン(2002年製作の映画)
4.0
2022.02.02/026/図書館DVD
社会科見学で訪れた大学の研究所で一匹の蜘蛛に噛まれ、特殊能力を身につけたピーター。蜘蛛の糸を使った滑空シーンがかっこいいスパイダーマン誕生を描いた第1作。

今回〝スパイダーマン ノーウェイホーム〟を観終えて感じたのは、本作でベンおじさんが遺した言葉〝大いなる力には、大いなる責任が伴う〟が、ホーム版にも受け継がれている重要な言葉であるということ。

しかし、〝大いなる力には、大いなる責任が伴う〟というベンおじさんの言葉を、本作のピーターは聞き流し、賞金稼ぎに向かう。スパイダーマンとして身に付けた力を使って、勝ちはしたものの少額の賞金に腹を立て、押し入ってきた強盗を腹いせに逃がしてしまい、結果、その強盗が、ベンおじさんの車を奪い、おじさんを射殺してしまった。

あの時、強盗犯を捕まえていればと思い悩むピーター。サム・ライミ版の3部作は、ベンおじさんの死とあの言葉が、ピーターの自分への戒めであり続けたために、ダーク・ヒーローにならずに済んでいるように感じた。第2作では、おじさんが亡くなった責任が自分にあることをおばさんに告白し、第3作では、犯人に復讐心を抱くピーターを、おばさんは〝復讐心は毒と同じ。人をむしばみ醜く変えてしまう〟と諭す。おじさんを死なせたことを思い悩み、葛藤するピーター。

善と悪は表裏一体。正義であり続けたのには、おじさんの言葉があったからではあるが、呪縛でもあったのではないか。MJとの約束も、パトカーのサイレンが鳴ると、そっちを優先してしまうピーター。もし、事件現場にすぐに駆け付けずに、誰かを死なせてしまうのではないかという強迫観念にさいなまれていたのかも。

そんなピーターのサム・ライミ版を観直すと、ホーム版のピーターが、どうしても軽率に行動をしているように思えてならない。最新作のピーターも、ストレンジさんに無理なお願いをして、さらにわがままを言ったために、あーなっちゃった訳で、自分で蒔いた種なんだよなあって思えてしまう。彼にももっと早く、あの言葉を伝えておいた方がよかったのでは。〝ノーウェイホーム〟でしっかり心に刻んで、計画中と聞いている次の3部作で、どう乗り越えていくのかを見守っていきたい。
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