CHEBUNBUN

虹を掴む男のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

虹を掴む男(1947年製作の映画)
3.0
【今だと統合失調症の深刻な物語になるだろう】
Prime Videoに『LIFE!』の元ネタである『虹を掴む男』があったので観てみた。

妄想癖のあるウォルター・ミティは油断すると自分の世界に入り込んでしまう。そのため、周りからは変な目で見られている。そんなある日、タクシーの中で殺人事件が勃発。警察に駆け込むも、外には問題のタクシーはなかった。誰かに狙われている気がするが、周りからはいつもの妄想だと思われてしまう。今、映画化するとなるとADHDとか統合失調症の深刻な映画として描かれるであろう。ダニー・ケイ演じるウォルター・ミティは落ち着きがなく、メモも十分に取れないので、買い物もろくにできない。自分の世界に入り込んでは怒られてを繰り返している。明らかにADHDの特性そのものなのだが、当時は変な人としてコメディのモチーフに使われる程度であった。そして本作のタイトルを山田洋次がパクったのも納得がいく。彼自身、社会に馴染めないような曲者が人情によって支えられていく空間を描き続けてきた人物である。ADHDや統合失調症などといった病名が社会に浸透する前の時代に人情が解決する世界を描いてきたといえよう。
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