拘泥

ランボーの拘泥のレビュー・感想・評価

ランボー(1982年製作の映画)
4.3
普通にベトナム物のガチ傑作。ロッキーといいスタローンは本当に賢くてカッコいい。これ以降のシリーズ作品は全く観る必要はない。
カメラは普通に素晴らしく、色味と照明がマジで良い。だが、保安官から逃げる時にあんな音楽鳴らすくらいだから非常に娯楽アクション的である。だからあんなご長寿シーリズになったんだろうが、むしろこのアプローチは他のアメリカン・ニューシネマとは全く違うものを捉え得た手法と見れる。すなわち、『First Blood』のアクション性は、ランボーがまさに戦うしかない事を、また我々がそれを楽しんでしまうことを、物語る。保安官も印象操作のメディアも大佐もベラベラ喋りやがる。街を歩くランボーは引きで捉えられあまりにも小さい。それが効いて、Nothing is over! Nothing!の慟哭が、此処までほとんど喋らなかった(アクション=肉体でだけで語ってきた)男の魂が惨めに叫ぶマジの名シーンになってる訳だ。他人事でThink about what you're doing だのpastだのほざきしっかりステイツの中枢に収まったしかし唯一の生き残りの同胞クソ虫にIt's not my warと、pastはfor youと返す。序盤にもI didn't do anythingと言った。流石に泣く。言葉を出したが最後、抱きしめて欲しかっただけ。褒めて欲しかっただけ。こんなにも強くアクションを示してきた男が。
原作では保安官もまた兵士であり、戦争の残骸同士が引き起こす惨劇になる様だが、映画では保安官は『イージーライダー』で見事な射殺を披露した「南部」と同様、アメリカの栄光に縋る保守を代表する。彼にとって「俺の町」は今の通りでなければならない。そこはニューシネマの産業的狙いに沿ったのだと思う。
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