停滞

フルスタリョフ、車を!の停滞のレビュー・感想・評価

フルスタリョフ、車を!(1998年製作の映画)
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何が何だか、無秩序だぁ。あるショットが写真的に切り取る世界が孕む事象の同時性もさることながら、車をパンで追いながらフレームアウトした後に車の陰に隠れていた人にフォーカスが移りカメラはそのままその人を追うといった長回しがある。それは部屋の内外を問わず展開され、本来ならカットを割るような部分でもカメラが動きパンし次から次へと新たな対象を捉え常に脱中心化されている。そこでは口論や暴力が炸裂しそれらがワンショットの空間的同一性により強引に連結される。そんなわけで物語が組み上がっているとは言い難いため、時折シーンとシーンは前のショットから始まる祝祭的音楽でやはり強引につながれ展開されていく。その強引さでショットやシーンは物語的動線を持たず音と映像の塊としてぶつかってくる。よくわかんないけどすごい。

上述のやり方はイワン・ラプシン的なやり方を洗練というか推し進めたものに思われる。(イワン・ラプシンは物語に従属しがちだったためかいまいちだった)それ以前のものとは作風が異なる(当然と言えば当然だが)。正直こうなるのは予想できなかった。
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