このレビューはネタバレを含みます
最近マーラーの交響曲第5番を聴くことがあったので映画を観直した。
学生時代に観た時は「何も起こらない映画だな」と安易な感想しか持つことができなかったが、多少でも歳を重ねて観るとグスタフの葛藤や気持ちを少しでも感じることが出来たと思う。
自分を綺麗に見せたい、話しかけたい、でも話しかけられない。妄想で、コレラが迫ってるので一家にベニスを離れなさいということを伝えるシーン、タジオの頭を撫でたかったんだなあ、それだけ出来ればグスタフは満足だったのかもなあと思うと切なかった。それすらも出来なかったわけですが。
タジオを想うと流れるアダージェット、本当に良い。
このように気持ちが揺さぶられる「何も起こらない映画」(何も起こらないは言い過ぎかもしれないけど)はなかなかないのでは。ビョルン・アンドレセンのことを想うとそれも苦しいが、美しい映画だと思う。