あしたか

遠い空の向こうにのあしたかのレビュー・感想・評価

遠い空の向こうに(1999年製作の映画)
4.1
[あらすじ]
米ソ冷戦時代のアメリカ。炭鉱夫になるしか将来がない町で、高校生のホーマーは美しい軌跡を描いて飛ぶ人工衛星を見る。宇宙に魅入られた彼は友人たちと「ロケット・ボーイズ」を結成し、ロケット制作に夢中になる。だが父親はそんな彼を理解できなかった(U-NEXTより抜粋)

主人公の1人であるホーマー・H・ヒッカムJr(元NASA技術者)による実話を元に製作された映画。


[見所]
●ジェイク・ギレンホール
主人公のホーマーを演じている。若くて爽やか!目がキラキラした青年を好演している。
同じ高校生とは言え『ドニー・ダーコ』の時とは全く違う役柄になっており面白い。
些細な心情の変化を繊細な表情筋で表現する演技力はこの頃から健在。

●ロケット制作過程
⇒花火の火薬を30本分集めてロケットを作ろうとする無知からのスタート(笑)でありながら、持ち前の知性と友人たちの協力を経て、ロケット制作をガンガン進めていく。
素材集めの為に廃線路のレールを盗むなど、学生らしいやんちゃをする姿も微笑ましい。
音楽が流れる中で失敗作がどんどん爆発するシーンは笑いを誘う。

●瑞々しい青春ドラマ
初めは町民から笑い物にされる彼らだが、実験が成功するにつれ認められ、応援されるようになっていく。
挫折を経験しても諦めずに、良き教師の協力と助言を受け、夢へと向かって邁進していく過程は、美しい青春ドラマに仕上がっている。
優しいが頑固な父親との親子ドラマも見応えがある。炭鉱夫として生きてきた父親と外界への興味を示す主人公は時には対立するが、そこには彼らのそれぞれの生き様と信念がある。両方の立場を尊重した描かれ方をしていることには好感を覚えた。
「父さんは炭鉱夫だけど、僕は違うよ。僕は宇宙へ行くんだ。」という台詞はこの作品のテーマを象徴する名台詞。


物語最後の打ち上げ実験において、ロケットに名付けられたある人物の名前と、主人公がある人物にスイッチを押すよう頼むシーンの2つは実に感動的なので要注目だ。
非常に清々しい鑑賞後感を味わえる良作。


P.S. 原題の「October Sky」は、原作の題名「Rocket Boys」のアナグラムになっている。
あしたか

あしたか