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ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛のmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.6
第二章、カスピアン王子の角笛。

カスピアン王子の角笛、と言いつつ、元々は前作で4兄妹のうちの長女に授けられた角笛。

その角笛が再び鳴らされた時、4人がまたこの世界に舞い戻り、壮大な冒険の旅がまた始まる、、、。

前作からかなり年月が流れたこの世界。
ナルニアが存亡の危機に。

国を治めるべき国は、自らの私利私欲にまみれ、本来の守るべきものを忘れている。

叔父に子供が産まれたことで、王位を継承するはずのカスピアン王子は命を狙われ国を後にしてナルニアに逃げのび、国と民と自らの尊厳を守るため、再び奮起する。

それを支え、前に出て戦う4兄妹。
前作でこの世界に名を連ねた幼き4兄弟が、ちょっぴり成長していて頼もしい。

時が経っていることでこの4兄弟はこの世界ではかつての英雄と称される。
それがプレッシャーでもあり、彼らの背中を押す勇気ともなる。

総じてこの4人の勇気と迷いと成長の物語なんだけど、それがナルニアと言うファンタジーの国の歴史となって残っていく、このテイストが本当に“物語”という感じで素敵。

アスラン、あの気高く雄々しい大きなライオン。
風格があって、常に皆の心の拠り所で、信頼厚く、頼もしい指導者。

今回は前面に出てきて躍動するよりも、皆が前で戦うことを1つの乗り越えるべき壁のように示し、それを乗り越えられるように後ろで支える。
なんて、大きい存在か。

今回はアンティークな衣装箪笥、ではなく、地下鉄のホームからワープする。
地下鉄から始まり、地下鉄に終わる。

音楽もそうだけど、このあっちとこっちの世界の対照的な描き方が、ナルニアでの出来事が、リアルであり、夢のようなファンタジーでもあるようなホントに絶妙な世界観を作る。

自分たちの中で起きている現実逃避が招いた夢物語なのか、あっちの世界に招かれて飛び込んだ別の世界での出来事なのか、どっちにも思える不思議な物語。

4人の成長と、ナルニアの成長。
前作から時を経て、変わっていくものと変わらないものの移り変わりも含めて、絵本のような世界をかなり完成度高く作り上げてるシリーズ。
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