TaiRa

揺れる大地のTaiRaのレビュー・感想・評価

揺れる大地(1948年製作の映画)
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これぞネオレアリズモといった感じ。貧困漁師の一家を現地の素人に演じさせ、ドキュメンタリータッチで描く。一度は上手くいった稼業が一晩でどん底まで落ち、そこからはとにかく苦難の連続で辛い。ただでさえ160分の長尺で観てる側も疲れて来るのに、主人公たちも終盤になるにつれどんどん疲弊して行く作りで、終わった頃には重い気持ちになる。

酒に溺れた主人公と悪友たちが夜中の街で騒ぐ。悪友たちが画面奥の暗闇で踊り始める。画面手前の主人公は彼らに背を向けて遠くを見つめている。彼にだけ風が吹く。その頃、家では妹たちが取っ組み合いの喧嘩をしていて、そのせいでランプの火が消えて家が真っ暗になる。妹の一人が扉を開けて外へよろよろ出て行く後ろ姿と月明かり。この流れが印象的。
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