がく

炎628のがくのレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
5.0
どうして映画という芸術媒体が必要なのか。
この映画はそのような問いに対して、映画が必要なものであるということを証明してくれるような、そんな作品でした。

ずっと重苦しい雰囲気が流れており、無残な虐殺が当たり前のように行われていました。少年はどんな思いであの景色を見ていたのでしょうか。彼のセリフはとても少なかったですが、画で魅せられました。

特に、正面から顔面のアップをとらえたシーンが多く印象的でしたが、人間としての尊厳を失いそうになりながらも、ギリギリのところで踏みとどまっている感じがして、何とも言えなかったです。

ラストの逆再生のシーンも、戦争というものに対して深く考えさせられました。未来は子供が作る。子供に非はない。ヒトラーをここまで駆り立てたものは何だったのでしょうか。人が悪魔になる瞬間と言うのはどこだったのでしょうか。

3日分ほどのエネルギーを使い果たすような映画でした。
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