Monsieurおむすび

炎628のMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

炎628(1985年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ナチの落下傘部隊から逃れ、森に身を隠したフリョーラとグラーシャ。虹を描いた朝露を浴びて身も心も浄められたような前半の描写が今は哀しくて仕方ない。。。

本作は史実に基づく人間の業を描いている。
そこに映るのは「泥」
重くまとわりつき、もがくほど更に重さを増していく。一度その身を堕としたのなら二度と這い上がれはしないだろう。

凡そ、人間の許容量を超えている底意地の悪いエグさ。戦争という状況下ではナチだろうとパルチザンだろうと変わらず、加害者と被害者、奪う側と奪われる側がいるだけ。

兵士だろうと
役者だろうと
動物だろうと分け隔てなく
死を受け入れた瞳は光と力のない洞のようだ。
身体を張り過ぎな演者たちの表情は、みるみるうちに疲弊し、まさに何十年分もの苦痛を刻んだように皺となっていく。
その真に迫る描写に、しばしば、映画を観ているという感覚がトンでしまうくらいに悪夢のようなリアリティを突きつけられ、劇場を後にする私の瞳もきっと光を放ってはいなかったであろう。

オススメは決して出来ないが、知ってしまった者として、「こんな凄い映画がある」と声に出さねばならない。
Monsieurおむすび

Monsieurおむすび