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怒りの孤島のENDOのレビュー・感想・評価

怒りの孤島(1958年製作の映画)
4.2
盆踊りの裏で生死を賭けた決死の脱走作戦!冒頭、牧歌的な唄など口ずさみながら、罵倒した少年と同じ仕事をする羽目になる七人の少年達。ナレーションで告げられる人身売買の現実と『舵子』という古来の因習。子ども目線からしたら美しい島ではなく、上陸直後、籠の中の糞まみれの仲間の姿に唖然。これ早よ逃げんとこいつの二の舞でっせ!とばかり極貧の島の最下層に位置付けられた我が身を呪う。早朝から日が暮れるまで鯛の一本釣りのため瀬戸内海の渦潮に流されぬようひたすら漕ぎまくる労働基準法など無視した世界!広島の連中の違法ダイナマイト漁で獲量は窮地に。弱者が弱者を搾取し続ける。この不均衡を是正するためにも行政は必要だ。ただし表現が過激だったためか、文部省特選にも関わらず完全退色した状態最悪のフィルムが一本現像するのみ。左卜全の日雇いの叔父にお前など他人だと断言され、頼みの貯蓄も全て失った悌三は疫病神だと謗られ、土下座して全てを踏みにじられたかと思いきやさらに追い討ち。盗っ人扱いで追い詰められ崖から転落。海の藻屑と化す。録が二木てるみに慕われ、犬に手を舐められてるシーンに落涙。行政がこんなに素早く対応してくれることがフィクションになりつつある時代の楽天性とグランギニョルの狭間で。未だに現在この空の下で移民労働者の人々も同じような扱いを受けているかもしれない…弱き者からさらに弱き者へ搾取は続いている…震える
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