やすまりあん

善き人のやすまりあんのレビュー・感想・評価

善き人(2008年製作の映画)
4.1
すごく何かを訴えかけてくる映画だった。
ジョンは確かに「善き人(good)」である。それ以上でもそれ以下でもなく。
ジョンの行動は全て「まあしかたないよね」と思える行動ばかりである。全肯定できる決定ではないけれども、共感できる行動をとっている。だってしかたないでしょ、あんな家庭じゃ若い女と再婚したくなるわ。総統府まで呼ばれたら論文書かざるをえないわ。自分殺されるかもしれないのにチケット買えるか。そういった行動が当時のドイツの実状だったのかもしれない。
論文が結果ホロコーストに繋がったのもしかたないじゃないか。ジョンは強い人ではなかった、ただの善き人だったのだ。彼の行動を日和見と呼ぶことは私はできない。それでも最後モーリスを助けようと必死になっただけ充分な気がする。
音楽が聞こえるシーンの細かい意味合いがわからないのが悔しい。
味のあるいい映画だった。

追記:あるブログによると、good とは曖昧な返事をするときに使うらしい。浅慮のはての曖昧な返事が生み出した残酷な現実。なるほど、しっくりきた。