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月はどっちに出ているの旅するランナーのレビュー・感想・評価

月はどっちに出ている(1993年製作の映画)
4.0
【崔洋一監督・李鳳宇プロデューサーによるトーク付上映】

キネマ旬報が選ぶ「1990年代の日本映画ベスト・テン」の第1位作品。
タクシー会社でのドタバタと、在日韓国人・出稼ぎフィリピーナの恋模様。
「腐れチ〇ポ」とか、どこで覚えたんだと思う日本語(妙な関西弁)を連発するルビー・モレノが、とにかく可愛くて、男はみんな恋に落ちそう。
彼女の「儲かりまっか?」「ボチボチでんなぁ」は最高だネ。

今やベテラン大物俳優になっている方々が、若さ溢れてゾクゾク出てくることにもゾクゾクします。
崔洋一監督は「力ある者たちが、ある引力で出会い、出来上がった映画です」とおっしゃっていた。
確かに、全編からほとばしるエネルギーを感じます。
ベタなポジティブ思考が懐かしくなる、90年代の活動大写真という感じ。


[崔洋一監督・李鳳宇プロデューサーによる上映前トーク(裏話)]
・李鳳宇Pは、ルビー・モレノよりもマレーシア人女性を推していた。
・李鳳宇Pから提案された映画タイトルは「キムチライダー」だった。
・原作は梁石日の自伝的小説『タクシー狂操曲』。
・梁さんから「映画タイトルが気に食わない」と激怒されたが、「脚本はおもろいやんけ」と言われた。
・後に同小説が韓国で出版される時のタイトルは、知らない間に「月はどっちに出ている」になっていた。
・93年11月3日公開。東京では新宿ピカデリー2(261席)を4週間貸館で上映スタート。
・初日初回10:30の観客は、男ひとり客82人だけ。興業の世界では、男ひとり客は"ゴミ"という。口コミなどで発信しないため、客数の広がりが期待できないから。近くの店でヤケ酒を飲んだ。
・飲んで帰ってきてみると、同日初日の映画「学校」に、すごい行列ができていた。これが実は「月はどっち」の客だった。上映2回目からは満席。人のうねりを感じた。結局、上映は26週間続いた。