きっと誰かに感情移入できる、愛に満ちた家族のストーリーでした。
ずっと前からリスト入りしていた映画でしたが、なんとTOHOさんが劇場公開してくれていたので、観てきました。
いやー、良い映画でしたね😋。100分間のこじんまりした映画でしたが、めっちゃ感動してしまいました。
大枠のストーリーは、家族が一台のバンに乗って旅をするロードムービーなのですが、いろんな立場の登場人物たちがとても上手く配置されていて、見る人それぞれが、誰かに感情移入できる構成になっていたと思います。
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オリーヴ … アイドルを夢見る9歳の女の子。この子がミス・コン『「リトル・ミス・サンシャイン」』の本戦に参加するために、家族はニューメキシコからロスまでの1300Kmをバスで移動することになります。
ドウェーン … オリーヴの兄で自閉症気味。パイロットを夢見ているけど、引きこもりで一言も喋らず家族とも筆談
リチャード … 二人の父で、怪しいビジネスで成り上がろうとしている面倒な人
エドウィン … リチャードの父。第二次大戦の退役軍人でヘロイン中毒
シェリル … リチャードの妻で、問題だらけの家族をけん引する元気なお母さん
フランク … シェリルの兄で、有名なプルースト学者でゲイ。失恋によりうつ症状となり自殺未遂の末、妹(シェリル)の家に同居することになる
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こんな、色とりどりのフーヴァー家の6人が一台のマイクロバス(VWの黄色のバスで可愛い!)に乗って移動するもんだから、常にいざこざが発生している状態。
特に序盤は、家族内のギスギス感全開で、しんどい映画なのかなと思ったのですが、最終的には誰一人悪い人はおらず、途中で繰り広げられる色んなイベントを経過していくに連れて、家族全員がそれぞれとても愛おしく感じてきます。
特に、良いなと思ったのはお母さんのシェリル。一番まともで、とにかく変わり者でうっとおしい男性陣に対して、うんざりしつつも見捨てることなく、時に一喝して家族全体を引っ張る、明るく前向きな人で魅力を感じました。
本作は2006年と、20年近く前の作品でありながら、ゲイを真正面から正しく伝え、家族の中にゲイの人がいる、うつ状態の人がいる、自閉症の息子がいる、義父の老害に悩んでいる、夫婦仲が冷めてきているなど、誰もがどこかに感情移入できるのではないかと思います。
また、最終的に単純なお涙頂戴の展開にならず、個人的にはとても意外、そして感動的な終わり方だったので、長く記憶に残る名作になりそうです。良い映画でした!
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愛らしい女の子、オリーヴを演じたアビゲイル・ブレスリンは、その後、マット・デイモンの「スティルウォーター」でマット・デイモンの娘役を演じており、印象的でした。
自閉症ぎみのお兄ちゃん、ドウェーンを演じたポール・ダノは、最近だと「ダムマネー」が印象的でしたね。無表情で心を閉ざしていた序盤から、フランクとの会話によって徐々に感情が蘇ってくる、見事な演技でした。