Rin

失はれた地平線のRinのレビュー・感想・評価

失はれた地平線(1937年製作の映画)
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シネマヴェーラのフランク・キャプラ特集、はじめる。人生初キャプラ。飛行機がチベット奥地に墜落し、助けられてたどり着いたのは「中庸であれ、優しくあれ」の思想が民に浸透したシャングリラという桃源郷。近くで金脈を見つけて狂気していた男も、いつしか金脈のことなんか忘れて人々の水汲みを楽にするための水道敷設に精を出す。助けられた直後、豪勢な食事を前に、シャングリラの住民は食人族で屠殺前に我々を肥やそうとしているのではという疑いを口にする古生物学者も(到底学者と思えない発言ですけども)、シャングリラの子どもたちに地質学を教えるようになる。文明人を自負する野蛮な白人を改心させよう映画という意味ではマイルドな『食人族』的な趣もあるか。

本作は1937年製作。緊迫する国際情勢に対して祈りを込めた作品なのかも。悲しいことに、製作から100年近くたっても戦争は勃発しているし、現代の桃源郷は見つかっていない。
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