りょうすけ

秘密と嘘のりょうすけのレビュー・感想・評価

秘密と嘘(1996年製作の映画)
3.3
「秘密と嘘」

第49回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。親族との関係性が上手くいっていない初老の白人女性と彼女が顔も見ることなく養子に出した黒人女性の再会と、家族の再生を描いた物語。

脚本なし、全編アドリブで作られた物語ということを鑑賞後に知り、あまりの違和感のなさには驚きました。出演者全員の表情は、全く即興には見えず非常にリアル。マイク・リー監督は舞台出身の監督らしいが、その経験が十分に活かされているのだと思いました。

ただ、2時間半弱の尺を使うほどの内容か?とも思ってしまいました。母と娘の再会までが1時間以上だったので、物語の核心に迫るまでが少し長すぎる気がしました。まぁ、前半よりも後半が印象的な作品なので、「終わりよければ全てよし」という考えならいいのかもしれませんが…

誰にでも秘密があり、痛みを少しでも和らげるために嘘をつく。誰か、特に家族に言えない秘密がある方には響くものがあるのではないでしょうか。

マイク・リー監督がのちに制作した「ヴェラ・ドレイク」でも同じようなテーマが扱われています。是非、本作と合わせて鑑賞してみて欲しいです。
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