ベンジャミンサムナー

トイ・ソルジャーのベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

トイ・ソルジャー(1991年製作の映画)
3.0
 まさに学園を舞台にした『ダイ・ハード』

 一見面白そうな設定だが、実のところ食い合わせが悪い。

 いくらワルガキグループとはいえ、武装したテロリスト相手に、FBIや大人達が問題を解決してくれる余地がある中で、自分たちでテロリストを相手取る展開は強引に感じる。

 ワルガキグループだけでなく他の一般生徒たちにしても、銃声や爆発が起こってもほとんど叫び声をあげないし、武装したテロリストに見張られてる中でも呑気にフリスビーで遊んでるし、点呼の時にビリーがいなかった事で4人の生徒(と校長)が壁際に立たされて射殺されそうになる場面でもまるで殺されたがってるかのごとく走って壁際に並ぶ。

 誰一人として怯えてる描写がないから緊迫感がないし、テロリストに立ち向かうワルガキグループのヒロイックさも際立たない。

 っていうか、生徒たちに自由時間を与えて1時間毎にいちいち点呼をとることにテロリスト側のメリットがあるのか?

 『E.T.』や『ハリー・ポッター』や『ストレンジャー・シングス』や『IT』のように、邂逅、対峙する相手がファンタジックな存在なら子供たち主導の話も許容できる。
 でも、相手が″テロリスト″という生々しい存在だと、『ホーム・アローン』の泥棒ぐらいコメディに振り切ったキャラにしないと成立しない。

 反面教師的に「どうすればジュブナイル映画は成立するのか?」を考える機会になった作品。