セキ

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒のセキのレビュー・感想・評価

3.8
平成ガメラ三部作の完結編。
このシリーズの中で一番面白かった。
過去2作を観ていてガメラがあまりにも人間と両思い過ぎるのに少し違和感を感じていたので、ガメラに家族を踏み潰された少女の登場というのは、今回はとても良い観点からストーリーを展開してきたなと思った。
敵怪獣イリスの気持ち悪さとカッコ良さを両立した造形も素晴らしく、羽を広げて宙に浮かぶ姿は、タイトルで邪神と呼ぶくらいには神々しく、「こんな敵にどうやって勝つんだよ...」とちゃんと思えたので楽しかった。生まれたてイリスの可愛さも不気味で良い。
ドラマパートのクオリティは急に高くなったなという印象で、割りすぎる変なコンテもだいぶ落ち着いていて良かった。まあそれでも訳わかんないカメラの動きは全然まだあるけども。
藤谷文子の演技が1に比べてめちゃくちゃ上手くなっていて且つキャラクターとしても良い活躍をしていて最高だった。
冒頭、少女がガメラに家族を殺されて叫ぶところだけ、さすがに平坦な演技すぎて気になった。何か見せ方として他に良い手があったんじゃないかなと思う。
特撮で言えば、前作に比べてだいぶ尺が減ったなという印象で、イリスも京都に上陸するまではCGが多用されているので物足りなさが少しだけあった。ただCGも完成度は当時としてはなかなか高いと思う。渋谷の崩壊は躊躇せずやりまくっていて気持ちが良い。
マイナスゴジラではないが、ヒト目線のガメラの描写が意識的に増やされている印象があった。ガメラをもう一度巨大な脅威としての側面として描こうという意思が感じられた。
内臓を引き出すような描写はグロテスクに表現されている。怪獣映画であそこまでの粘り気を見れるのはガメラくらいなんじゃないかなと思う。少女とイリスの融合も嫌な感じに演出されていて良い。
ラストの京都駅でのバトルは怪獣が室内で戦うという面白さはあるものの、どうしても怪獣の動きも制約されるので迫力不足も少しあった。これを人間パートでカバーしているため、映画として暗いマックにおいて単なる戦闘にカタルシスを求めなかった姿勢は良かったんじゃないのかなとも思う。
終わらせ方もあれでいいと思う。前二作が解決し過ぎていたのでこのくらいの重さがちょうど良く感じられた。
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