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三国志のmatchypotterのレビュー・感想・評価

三国志(2008年製作の映画)
3.4
今年は中国大陸の映画も、となり、既に『西遊記』由来の映画を何本か観たが、中国と言えばここも避けて通れぬ道に違いない、『三国志』。

劉備の蜀、曹操の魏、孫権の呉。中国大陸を股にかけ覇権を争う中国の三国時代。

最近そんなこんなでドニーイェン率が急上昇だが、彼も差し置くことのできない、アンディラウ。

今作は蜀、劉備軍の中で名を残した趙雲を主人公にして、三国時代を彼と彼の兄貴分の目線で描く。
趙雲の生涯と彼の意志、背負うモノの覚悟を真正面から描く正統派の歴史スペクタクルアクション。

『三国志』が好きなら、色んな有名な武将が出てくる。特に蜀の武将。劉備、関羽、張飛、黄忠、馬超、そして、諸葛孔明、、、。
あくまで趙雲が主人公で彼の足跡なので、“桃園の誓い”が描かれるわけでもない。

が、壮大な戦国乱世を背景に一兵卒から成り上がり、猛将たちと肩を並べ、生き残って何と向き合い何を残し、蜀をどう導くか、という強き覚悟と意志を感じる物語。

アンディラウ、盤石。安定感がスゴい。
もちろん趙雲が主人公だからという前提ではあるが俳優として雰囲気が抜きん出てて、明らかに他の猛将よりも圧倒的な覇気を纏ってる。

そして、兄貴分、サモハンキンポー。もはや、ある意味、生きる伝説みたいな男。やはり存在感が違う。
途中、なんか『家政婦はみた』みたいになるけど、ちょいちょいシーンに挟まってくるだけで記憶に残る。

それぞれ違う角度で“画力”のあるコンビ。
そこに後半はマギーQが加勢。三者三様の“画力”が光る。

もちろんアンディラウがおり、その彼が槍の名手の趙雲なので、それを証明するアクションシーンは多彩。
だけど、全体的には戦国の乱世と武勇を描く激しい戦場シーンに終始せず、どちらかと言うと趙雲の生き様や思想、意志、覚悟を中心にした人間や心模様を描くドラマ要素が強い。

だから『三國無双』的な派手な合戦シーンを期待して観るとアレだが、そうした戦国武将の表だけではなく知られざる裏の顔のようなモノを覗き見たような。

最近観た作品で言うと『レジェバタ』的な。
こちらは恋愛要素はほぼないが、1人の人間としての人生、歴史の集大成、忠義。
少なくとも“新解釈”はしてない『三国志』。

何があっても、守り抜く。
たとえ命をかけても。数多くの仲間の犠牲があろうと。全てを背負って守り抜く男の覚悟、ここにあり。

猛将達が次々に去る中、最後まで残り魏を相手にして悟る彼の境地、勇士、あっぱれ。


F:2004
M:459
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