このレビューはネタバレを含みます
【スタイリッシュな闇堕ち映画】
"悪魔のバイブル"と呼ばれているウィリアム・ヒョーツバーグの小説「堕ちる天使」が原作の映画です。
アラン・パーカー監督作品では、こちらと「バーディー」が飛び抜けてお気に入りです。
影の作り方、逆光。サーキュレーターや螺旋階段、杖の回転。心臓の鼓動。血の演出のセンスに心の底から惚れ惚れします。
そして伏線の張り方が精密。
デ・ニーロさん演じるルイス・サイファーさんと、ロークさん演じるハリー・エンゼルさんの名前と服の色が相反する所。
他にも、冒頭で壁にぶちまけられた自殺者の血の跡が気になってしょうがないエンゼルさん。
「ジョニー・フェイバリットを覚えているか?」と尋ねられる場面。
度々思い出すピアノの旋律。
卵の場面でのサイファーさんの台詞から卵を食べる流れ、彼の逆五芒星(デビルスター)の指輪。
(占い師もエピファニーさんも五芒星を身につけていましたよね)
聞き込みを行う先で毎回、刃物や銃などの武器を見付けるエンゼルさん。
小出しでエスカレートしていく彼の暴力性。
近親相姦。
そもそもこの映画のタイトル。
他にもありますが、上記のような細々とした伏線が全部回収されるから超スッキリします!
そして無神論者のエンゼルさんが行く先々で出くわす様々な種類の宗教。
このシーンを繰り返し観せることで、彼の"異端さ"が強調されていると感じました。
元々デ・ニーロさん目当てで観た作品でしたが、ロークさんの熱演も凄かったですし、見た目も「レスラー(2008)」の彼と別人で驚きました。
プロレスラーになってからの彼しか知らなかったから。
終盤デ・ニーロさんが長い爪を生かして、ペンダントを爪に引っ掻けてゆっくり拾い上げるシーンが大好きです♪
エンドクレジットで、のろのろと降りていくエレベーターと階層を調節する車輪の回転、そして降りきった直後のエンゼルさんの死。
雨が地面に落ちる・螺旋階段やエレベーターで下に降りる=地獄に堕ちる暗喩
最後の最後で彼の死をもって魂がルシファーの手に渡る演出も最高に美しかったです。
完璧なるバランス感覚に優れた芸術作品でした!
結局は魂を売った時から彼はサイファーさんの手の内で振り回されていたという事ですよね。
正直ちょっとBLっぽい目線で観ちゃったよ😂
実際に探したら薄い本ありそう←