ちゃむ

シザーハンズのちゃむのネタバレレビュー・内容・結末

シザーハンズ(1990年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

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街の人間たちの醜さ愚かさを見る度に、エドワードの純粋すぎる優しさがより一層際立つ。

濡れ衣を着せられてもジムたちのことを警察に黙っていたり、ワンちゃんの目にかかった毛を切ってあげて嬉しそうにするワンちゃんを見て微笑んだり…

シザーハンズのエドワードが柔らかい手の人間たちの世界に馴染めなかったと言うより、人間たちの汚さにエドワードの清らかさは馴染めなかったと言う方が正しい。

ただそんな中にもひとりぼっちだったエドワードを家に招き入れてくれたペグや彼女の家族、心から彼を心配してくれた警官、そしてエドワードに恋したキムなど優しい人たちもいる…

インタビュー中、1人の女性から「整形を受けてしまったら特別な人じゃなくなる。もてはやしてもらえなくなるわ」と言われた時にペグが「私にとって彼はいつも特別な友人です」と言って、それを聞いて顔をほころばせるエドワードのシーン好き。心が温かくなる。

ジムの企みを知っててどうして乗ってくれたのか尋ねたキムに「君が頼んだから」と答えたエドワード。(そこでハッと何かに気づくような驚いたような表情をするキムのシーンも好き)
それを思い出してか、善悪のけじめを教えるための質問で、落ちているお金をどうするかビルに聞かれた時に「愛する人にプレゼントする」と答えたエドワードは叱られるが、キムは私だってそうすると庇う。

エドワードが降らせた雪の中で踊るキム(キムと離れ離れになってからも彼女のその姿を氷像に残すほどエドワードの中で永遠の瞬間になっていることが最後分かるので更に胸に来る)や

シザーハンズが彼女を傷つけないよう最初は断るも、彼女から抱き締められると壊れ物に触れるようにそっとキムを抱きしめ返すエドワードなどロマンチックなシーンが多くて大好き。

終盤、エドワードを追い詰めに街の人々やヒロインにしつこく迫る男が森の奥の城にまで来るの『美女と野獣』っぽい。

ジムを刺して赤くなった手を見た後、キムを見つめるエドワード。いよいよ彼女とは一緒にいられないと思ってしまった瞬間のようで悲しい。エドワードはキムに別れの言葉を告げ、キムは愛の言葉とともに最初で最後のキスをする。去っていくキムの背中を目で追いかけるエドワード…

最後、孫娘に「城を訪れればよかったのに。今からでも遅くない」と言われたキムが「エドワードにはあの頃の私を覚えていて欲しいのよ」と返すシーン。彼女の切ない恋心と乙女心が詰まっててもどかしく、とても切ない。その言葉の通り、エドワードはあの日の雪の中で踊るキムを氷像に形作っていた。
ちゃむ

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