しゅん

黄金時代のしゅんのレビュー・感想・評価

黄金時代(1930年製作の映画)
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人が遠くから見てるものをアップで映し、次に人もものも遠くから映すロングショットに繋げる。このパターンが多くあって、変な遠近感(?)が生まれていた。ちょっとリズムが不器用にも感じる。

サソリの生態の紹介から始まり、急遽岩崖に座る男へ。小屋の中の兵士。帽子を被った集団。女の叫びと強姦しようとする男。いちいちシーンを上げていくとキリがない夢の無節操。パリの路上で悪態ついたり盲目の男蹴っ飛ばしてタクシー乗るシーン(ひどい)はブニュエルと同じパリの異邦人であるイオセリアーニに継がれてる気がするし、後半の羽毛の広がりはヴィゴとの同時代性を想起した。脚の小指をむしゃぶるシーンはバタイユの短文を思わせたけど、バタイユとブニュエル会ったことありそうだよな。

パーティーのシーンで主催者Xにたかるハエとか夫人へのビンタとかブルジョワジーへの皮肉が全開。それは『皆殺しの天使』とか『ブルジョワジーの密かな愉しみ』とかも同様で、3〜40年経ってもブニュエルに残り続けるものだったんだな。
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