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少林サッカーのmatchypotterのレビュー・感想・評価

少林サッカー(2001年製作の映画)
3.8
《スポーツの映画》、Vol.16。サッカー②。

これ、好き。
タイトルの『少林足球』っていう字ズラがまたカッコいい。
単純明快。もはやサッカーの体をなしてないサッカー映画。
ただ、ある意味で“リアル『キャプテン翼』”というか。

真剣にふざけて突き抜けてる。
突き抜けて1周回ってカッコいい、みたいな。
これでブルーリボン賞の外国映画賞って。やっぱすげえな。

『レッドクリフ』にも出てたけど、ヴィッキーチャオが素朴な感じで可愛い。
これでチャウシンチーを知ったけど、この小細工せずに細かいこと気にせず、勢いに任せてとにかく突っ走る感じがどこまでも気持ちが良い。

昔はスターだったけど、欲に塗れてサッカー人生を棒に振ったおっさん。
少林寺拳法を愛し、どうにかして手早く普及させたい青年。

この2人が出会って奇跡のサッカーでトーナメントの優勝を目指す物語。

この拳法の使い手の兄弟弟子達の見所が豊富なことったら。
まるでロールプレイングゲームのキャラかのような拳法の中で一切被りのない得意技を持つ達人達。

社会に揉まれて、無惨な姿になったこの兄弟達が目覚める瞬間が最高。「おぉぉぉぉ!キタァぁぁぁぁぁ!!」ってなる。

攻守の入れ替わりが激しく、1つのボールを奪い合い、組織的な戦略で手早くボールを回し、相手を抜き去り、ゴールにシュートするスポーツ、それが、サッカー。

もはや、それについては、サッカーではない。
もう、それは良いのだ。

横一列に並んで、キーパーに寄ってたかって豪速球を打ち込むとか、それを息を呑んで見守ってるとか、どんだけ劇的な構成か、と。
そう、ルールがどうとか、サッカーらしさの追及、ではなく、劇的なのだ、と。

柔は剛を制す、とか、自分に自信を持て、とか、コンセプトと言うか、メッセージ性がシンプルで軽いノリでありながら、本人達の真剣さも伝わってくる。エンタメとして楽しめる作品。

壁にめり込む空き缶、遠くからでも寸分違わず蹴り込む壁当て、リアルに炎を纏うシュート、タイガーショット、球威に負けて破ける服、破けるゴールネット、歪むゴールポスト、シュートの威力で割れる柴目、トルネードシュート。

キャプ翼世代的には、もうほんと色々な非現実的なあれこれのリアルが拝めて、それだけでもテンション上がる。

クソわかりやすい敵チーム“デビル”。
結局こいつらの力の源は何なんだ。
薬だけなら、プールの件は何なんだ。

前半の踊りとか、練習試合の最中の戦争の最前線みたいなシーンとか、なんか色々ブレてそうで結局ブレてない。

そういうのがいちいち楽しい。
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