じょうパン

フルメタル・ジャケットのじょうパンのレビュー・感想・評価

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
3.9
最初のバリカンで頭を剃るシーンから始まる強烈さは最高でした。ただ期待しすぎたために前半は良かったけど、後半があまり合わなかったです。しかし人間の2面性のような事をきちんと描けるのは凄いと思いました。

◻️脚本
前半の教官にめちゃくちゃな言葉で訓練されるのは笑ってしまう部分もありました。その後に本当の戦場に行くと、とても笑っていられる状況ではないという戦争の悲惨さを
前半と後半で対比というか全く違う温度感で描いているのがよく出来ているなと思いました。教官はあくまでも訓練生のために戦場に行った時に戦争の悲惨さを少しでも和らげるためにあんな汚い差別的な言葉を使ってるんだと感じました。
訓練シーンで教官がめちゃくちゃな言葉で訓練生を罵倒したりしてたけど、最終的に卒業の時には「君たちはもはやクソ虫ではない。栄誉ある海兵隊の一員である」と言った時に教官の優しさも感じたと同時にこれは洗脳なのかと思いました。下げて上げることで見事に心理的に操り殺人マシン製造を作り上げているという怖さも感じてあっぱれだなと思わされる脚本でした。観ている私や他の人もこの教官悪くない人やなと思った時点で洗脳されているなと思いました。ただなぜあの微笑みデブはジョーカーや他の訓練兵を殺さず教官を殺したのか義気になりました。ただ単に教官が理由でみんなに嫌われたからかな?
戦場のシーンは最後の狙撃手が女の子だったのは衝撃的でした。またジョーカーが最後殺すことにより人は人を殺してしまう顔つきやと性格も変わってしまうんだなと感じた瞬間でもありました。確かに戦争をは悲惨ですが、どうも撃たれる演技が「え、今の撃たれたん?」というような倒れ方だったりしたので微妙でした。

◻️映像
シンメトリーの構図もあり、計算しているような画角とかがあり観ていて面白かったです。戦場のシーンで人物が左から右に移動していたら基本的には地獄に向かっている事を表すので、右から左に移動していた人物が死んだので、きちんと計算しているなと感じました。あと長回しのワンカットが多くて観ていて面白かったです。
ただトイレもシンメトリーやったけどホンマにあんなトイレあるのか?と気になりました。

◻️まとめ
確かに観た直後は「これで終わり?」感はありましたが、振り返ってみると前半も後半での温度差がちゃんと作られているなとか思いました。前半はキューブリック監督らしさ全開でしたが、後半はあまりキューブリック監督っぽくない感じだったので、なんか予想外でした。
面白くないという意見もありますが、人間の事をよく理解していないとこんな映画は作れないので、個人的にはよく出来ている作品だと思うので全然オススメできる作品でした。

2024 13本目
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