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人生劇場 飛車角と吉良常のzhenli13のレビュー・感想・評価

人生劇場 飛車角と吉良常(1968年製作の映画)
3.9
気になったので観てみた。左幸子が藤純子を攫っていくというシチュエーションを入れてきたのがやはり面白い。この左幸子がものすごく好い。それに対して主体性がなく結局泣き崩れるばかりの藤純子の設定が残念で、シスターフッドは脚本上のきっかけでしかないのは時代として仕方のないことか。しかし三角関係的な鶴田浩二と高倉健においてじつは藤純子がさほど鎹にはなってないようなのも面白い。彼らだけでなく辰巳柳太郎、松方弘樹、信欣蔵など、男たちは最初から最後まで渡世の仁義だけじゃない絆というか、鶴田浩二と高倉健の関係以外は寧ろ温かなホモソーシャルな絆が強く見られる。なので男は男の、(一応)女は女の、それぞれの世界があることが示される。
シームレスにつながる回想シーンや省略と音の引っ掛けの効いたカット割で、前景のシチュエーションが終わるか終わらないかのタイミングで蠢く後景の次の人物、という演出が何度も出てくる。芸者となった藤純子が宴席に呼ばれて鶴田浩二と辰巳柳太郎と再会するシーン、鶴田浩二と藤純子メインのショットかと思ったらカメラがぐーっと回り込んで辰巳柳太郎を入れ込み寧ろ前景に持ってくる。何を重要視してるかがよくわかる。
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