zhenli13

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳のzhenli13のレビュー・感想・評価

4.3
『蛇の道』の編集のキレと凄みに対して『蜘蛛の瞳』のそれは意図的なハズシがあり弛緩した印象をもたせる。編集だけでなく撮影も、ショットひとつで笑える箇所が結構あった。ダンカン初登場シーンでの会話切り返しでダンカンの魚眼ぽいアップとか、4人が並んで歩いてマンションの塀から頭だけ移動して見えるのとか。釣りのシーンなど、よく知らないけど北野武映画ぽさが強い。キャスティングもか。
その弛緩がクライマックスにむけてまた緊張を増し、キレが戻ってくる。
ダンカンの事務所の、哀川翔がひたすらハンコ推し続けて周りでダンカンはじめ事務所の人間がひたすら色んな動きを反復し往来する長回しは『ゴダールの探偵』を思い出したし、超ロングショット長回しでの追いかけっこはキアロスタミ『オリーブの林をぬけて』にも匹敵する。森の中で逃げる女性を追いかける移動ショットとそのあとの顔が血まみれになった女性が撃たれるシーンはまさにベルトルッチ『暗殺の森』だった。本作でもロケーションはとても印象的。
また『CURE』にもあった、精神的に追い詰められていく妻の存在とその進行が怖かった。

ブロマンズ的な親愛というか絆というかそういうものを見せつつふわっと乾いた感じで裏切っていくところ、そこも北野武ぽかったのかもしれない。
zhenli13

zhenli13