ジャイロ

アナタハンのジャイロのレビュー・感想・評価

アナタハン(1953年製作の映画)
3.0
公園のアスレチックを走り回る3歳児。あっという間にいなくなるから片時も目を離せません。そんな3歳児が、走りながら時折右の手のひらを見て何かしゃべっている。何をしているんだ?

もしかして…

新手のシャイニングなんじゃないの?

ドキドキした。

後で聞いてみた。

右手見てたのあれ何?

3歳児「スマホ」

こいつ、ナビ見て走り回ってやがる…



この映画は、スマホがあれば避けられていたと思われる事件のお話です。

「世界的巨匠老いたりの失敗作。興行も不振」

マレーネ・ディートリッヒとの名コンビでうたわれた往年の名監督ジョセフ・フォン・スタンバーグの作品。

私がこの映画に興味を持ったのは、1945年から1950年に太平洋マリアナ諸島に位置する孤島アナタハン島で起きた「アナタハンの女王事件」を知らなかったからに他なりません。

孤島に取り残された32人の男と1人の女の共同生活。終戦の事実を信じず、異常な状況下での5年の歳月。そこには『蠅の王』のような恐ろしさは無く、脆い秩序と力に溺れる弱い人間の姿だけが描かれていました。思ってたよりマイルドな仕上がりでした。