あんがすざろっく

真実の行方のあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

真実の行方(1996年製作の映画)
4.5
法廷を舞台にしたサスペンスです。この作品が劇場公開された頃には既にアカデミー賞のノミネートが発表されており、僕が毎回気にしているのは作品賞ノミネートと併せて、助演男優賞でした。映画を観ていても、常に目がいくのは悪役とか脇役なもので…。この年のサプライズと言えば、映画デビュー作でありながら、いきなり助演男優賞にノミネートされた、エドワード・ノートンでした。今にしてみれば個性派としてその名を知られるノートンですが、当時は全く真っさらな状態、どんな演技をするのだろうと、ただただそれが観たくて、本作を観に劇場に足を運びました。主演はリチャード・ギア(申し訳ありませんが、当時あまり好きではありませんでした)、金と名声に目がないマーティン弁護士を演じます。その彼が、殺人容疑で逮捕されたノートン扮するアーロンの弁護に立ちます。最初は事件の話題性から弁護を引き受けたものの、真相が明らかになるにつれて、マーティンの気持ちが揺らぎ始めます。そして映画の最後、とんでもない衝撃の事実に、マーティンの自信はガラガラと崩れ落ち、自らの存在をも根底から覆されてしまうのです。裁判を終え、法廷を振り返るマーティン。映画のパンフレットの表紙にも使われたこのラストシーンですが、本当にここに行き着くまで、マーティンの心理変化は見事です。この作品で僕はリチャード・ギアを好きになれました(笑)。しかし、ここまでギアを追い込んだのは、他ならぬアーロンを演じたノートンの演技。最後のどんでん返しは本当にゾッとしたし、ここでノートンが全部映画をかっさらいます。まだ何色にも染まっていない彼だから成し得た結末です。この作品が紹介される時は、必ずと言っていい程、ノートンの演技にスポットが当たりますが、もう当然なんです。彼の演技なくして、この作品は語れないんですから。
あんがすざろっく

あんがすざろっく