映画男

大雷雨の映画男のレビュー・感想・評価

大雷雨(1941年製作の映画)
4.0
原題のマンパワーよりも大雷雨の方がかっこいい。鉄塔に登って発電機の修繕をする男らが主人公なので、ほんまに大雷雨が続く。ラオ─ル・ウォルシュの映画はまだ多くは観れていないが共通して前半の展開の尋常じゃない速さが挙げられると思う。普通なら1時間かけるところを冗談抜きで30分でまとめている感じがする。推測だが、この映画はマレーネ・ディートリヒありきなので、そこまでを忙しなく駆け抜けた感じがする。ちょうど相米が雪の断章で斉藤由貴を早く出すために16シーンほどワンテイクで撮ったときのように。ドタバタコメディを想起させるおかしな場面とシリアスなドラマがうまい具合に絡み合っていた。ジョージ・ラフトは自分は演技はできない、素でやっているだけだと語っているが、この頃からいわゆるメソッド演技を完璧にこなしているように見える。なぜかジョージ・ラフトが出ると、ダンスシーンがあるのが気になっていたのだが、もともとダンサーだったと知って納得。本作ではマレーネ・ディートリヒと少し踊るくらいだが、色気あり、優雅で、クールで、ため息が出た。エドワード・G・ロビンソンのモテない男の哀愁は、そのエッセンスが後年、バート・ヤングあたりに受け継がれているように見える。
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