バベルの塔をモチーフにした事からも、言葉が重要な要素として扱われている。
4つの物語から連なる一発の銃弾。
次々と痛々しい場面が続出するが、分かり合えない連鎖が微かな希望を見出す。
まずは今の日本の若者をよくここまで描いた事には驚いた。
コミュニケーションの術を知らない事が、さらに聾唖の少女を追い詰める。
表現方法を忘れてしまったかのような、チエコの行動に胸が痛む。
他にも息子2人やメキシコ編の悲運も強く印象に残る。
ところがどうしたわけか、アメリカ人夫婦がまったくといっていいほど残らない。
何かすっぽ抜けた話のようで薄く感じる。
結局の所この映画はアドリアナ・バラッザと菊池凛子の2人を筆頭に、役者陣の熱演に助けられている。
イニャリトウ特有の時間軸のずらしもこの物語に必要あったのかと疑問に思う。
妙に意味深なラストはどう解釈するのが正解なのか。