凛太朗

あの子を探しての凛太朗のレビュー・感想・評価

あの子を探して(1999年製作の映画)
4.1
ヴェネツィア国際映画祭でグランプリを受賞している中国映画。監督は『赤いコーリャン』などのチャン・イーモウ。1999年公開の作品。

中国の貧しい田舎の村にある水泉小学校のカオ先生が、母親の病気の看病で一ヶ月程学校を離れないといけなくなったため、その代理として13歳の少女ウェイ・ミンジが村長に連れてこられた。
自分自身が中学も卒業していないミンジだけれど、代理を勤め上げれば50元、更に28人の生徒が一人も辞めなかったら、カオ先生が10元くれるというのだっだ、ある日問題児ホクエーが、家庭の都合により止むを得ず町に出稼ぎに出てしまう。

そのホクエーを追ってミンジが探すというのがこの映画なんですけど、ミンジが町に出るまでにも色々有ります。
まずお金を持っていない。バスに乗るお金すらなくて、レンガを運ぶバイトをしたら幾らになるかな?何個運んだらいいかな?みたいな計算を一所懸命授業として生徒と考える。
そのバイトも誰の許可もなく勝手にやっちゃう。いやそれ、雇い主すらいないからっていう。
更にお金がないのはミンジだけじゃなく、学校にも村にもない。
何より教育をまともに受けられるような環境ではない。
チョークを買うお金もないから、最後の最後、指に擦り付けてまで使う。
これが、今ではGDP2位とかの中国の、そんなに昔の話でとないという現実。もちろん物凄い格差もあるんだろうけれど。

つくづく、この時代に日本に生まれて生きてる自分は、なんぼ程恵まれてんのやろか。と思いました。恵まれていながらそれに気づかずまともに勉強してこなかった自分は、勉強ができるできない以前に愚かやったかもしれないと、大人になってるからこそ思うことなのかもしれませんけどね。

ミンジの一生懸命な姿、子供達の無邪気な表情、ラストシーン、なんだか自分でもよくわからないけど泣けてしまった。
ハートフルではあるけど、それと同時に現実的で辛辣ですらある映画だとも思います。
凛太朗

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