菩薩

マザー、サンの菩薩のレビュー・感想・評価

マザー、サン(1997年製作の映画)
3.8
おかあ、さん。じゃ無くてお母さんと息子、要するにソクーロフ版のおかあさんといっしょだ。しかしじゃじゃ丸もぴっころもぽろりも出てこない、いつかもどこかも分からず、出てくるのはお母さん・息子、以上である、当然お乳のぽろりも無い、ニコニコもしない、ぷんとはしている。絵画的、絵画的とはよく言ったもので、本当にこんな絵画的な映画も珍しいとは思うが、その絵画的世界は歪み、そしてあたかも時が止まっているかの様に見える、しかしある一定の方向にだけは時が着実にそして確実に進んでいき、そして最後母は死ぬ、それだけの映画である。衰え死にいく母を抱き寄せ、そして寄り添う息子の図、暗く淀んだ世界を力なくふらふらと彷徨うかの様な二人、そこに愛はあるのかい?と尋ねれば、むしろそこには愛しか無い、母の愛が、息子の愛が、そこには、あるんです、むむっ。男はどうしたって潜在的にマザコンで、別にそれを悪い事だとか恥ずかしい事だとも思わんし、最後死ぬときに思う事は、元いた場所に還りたい、そんな事なのかもしれないね。つまらない話のはずなのに、なぜか飽きずに観られてしまうソクーロフ印、なんかずるい。
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