マザー、サンの作品情報・感想・評価

「マザー、サン」に投稿された感想・評価

b

bの感想・評価

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90年代のロシアはソ連体制が崩壊してから経済も落ちこんで失業者も増えてた
この母はもう過去のものとなった葬らなければならない共産主義の象徴。しかしこれからどうしていいかわからず彷徨う。
これは90年代当時のロシア人の精神状態そのもの
でもそういう時代背景はいったん度外視して純粋に母と子の話、一つの人生の終点として見ればいい
親の死というその重さを表現主義として重力の歪みすら起こってるように見せるという
姥捨て山の話にもかけてそうです。昭和天皇の映画なんて作ってるぐらいだし日本にも造脂を持ってるに違いない
昭和天皇をモデルに「太陽」(2005)を制作し話題になったアレクサンドル・ソクーロフ監督の代表作。原題は「MOTHER AND SON(母と息子)」。邦題もこの方がわかりやすくて良いと思う。森の中で死を待つ母親とそれを看取る息子、二人の最後の数時間の散歩とコミュニケーションを描く。

滝本誠が著書「映画の乳首 絵画の腓」の中で、ソクーロフ監督の師にあたるタルコフスキー監督と、廃墟画が有名な19世紀ドイツ・ロマン派画家カスパ-・ダヴィッド・フリードリヒとの類似を指摘していた。タルコフスキーは”死”を「晴れやかな解放」ととらえ、フリードリヒは「人はしばしば死に身を委ねなければならない、行く末を永遠に生きるために」と語っている。

本作はソクーロフ監督曰く「フリードリヒの『海辺の修道士』をモチーフに制作した」とのこと。本当にその通りで、ロケーションも構図も色味も歪んだ映像処理も、全編に渡ってフリードリヒの絵画のような画面が続く。そしてシンプル極まりないプロットは先述のフリードリヒの言葉を映画化したものと言える。

余計な要素がないので、ソクーロフ監督の幻想絵画的映像と死に向き合う詩的イメージを存分に味わうことができた。
お

おの感想・評価

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あんな恋人の髪を撫でるみたいに母ちゃんに触れるなんて究極のマザコン

窓を開けた先に広がるお花のついた木につかまれた!美
ピクチャレスクが合言葉のようにリーフレットで解説されてたけど、ほんとにピクチャレスクを散歩する映画。そうゆう景色がドイツ表現主義的に歪んで撮られていて、それは心情表現というより、個人的にはレンズの端でぼやけた景色がより油絵タッチの美しさに繋がってる。

2人だけの世界に閉じ籠ろうとしてるのだろうけど、時々謎に出現する人影や画面外の人の声が嫌でも侵入してくるのがしんどい
最後の蝶がねえ、すごい

『戦争と女の顔』公開ついでにレストアして劇場で流してほしい
K

Kの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

明るくなったり暗くなったり
交じり合う光と影
彼らの心の中とリンクした

そしていろいろな考えで揺れていたけど最後には彼なりの信念があった








蝶?が潰れてなくてよかった と思ったけど、草むらを歩いてるときにたくさんの虫が潰れていたかもしれない

このdvdのジャケットすき
途中、余白が多すぎて余計なことを考えてしまった。実はこうなのかな?とか邪推をしちゃう。それくらい、二人の持ってる空気感に広がりがあるのかも。
ある映画が神の視点で撮られている、みたいな話になるほどなと思いながら、この作品にも通ずるものを感じて後半は一気に引き込まれた。
何も起こらない、ただ生と死に向き合う時間、好きな作品だった。

人の記憶って、言葉が7%、聴覚情報が38%、残りの55%が視覚情報、だから映画って本来こういうもので良いのかも、みたいな話をした。今は言葉に頼りすぎているものが多いから、私はこういう作品が好きなのかもしれない。素直に観ることができる。

人と話しながら、というか解説をしてもらいながら観るのはとても贅沢でした。面白かった。
死にゆく母。
母と息子の関係以上。
近親相姦的な介護。
かつて、母が幼い息子に注いだであろう愛情を、成長した息子が老いた母に注ぐ。
母との別れ。
ドラマ性が弱い絵画を意識した歪んだレンズの映像美。
アレクサンドル・ソクーロフ監督を見出した、タルコフスキー監督。
もし仮に、タルコフスキーが同じテーマで作ったとしても、もう少し何か工夫がしたよね?と思うくらいに、ソクーロフの本作は魅せてくれるものが今一つ物足りない。
あかね

あかねの感想・評価

4.5
世界観がやべぇ。これなに?
幻覚なの?絵画なの?
多分ゴッホが見たら叫ぶレベル。
そのくらい画がやばい。
歪み?幻覚?なんか言葉にならんレベル。
絵画の中いるみたいなんだけど現実?
 
ロシアが誇る巨匠。
なんかタルコフスキーぽい思ったら
タルコフスキーが彼を絶賛してたらしい。
でもある意味次元超えてるかと。

母との僅かな時間。
静寂の中、時と最期を感じる。
現実のような現実じゃないような
最近祖母が亡くなった身としては
この世界観わかる。
黒蝶をみかけたあの感じ。

私の時空が歪んでる感じ。
とんでもねぇなロシアって。
sonozy

sonozyの感想・評価

4.0
他に何もない広大な大地に朽ちた家。
衰弱し死期が近い母と、寄り添い見守り抱きしめる息子。

散歩に出たいという母を抱きかかえゆっくりと歩く息子。
遠くから聞こえる雷鳴、黒い雲。

白樺の木、昔の絵葉書、外に咲く花。
喉が乾いたでしょと吸い口のついた瓶からお茶のようなものを飲ませる。

手の甲に止まった白い蝶に微笑み目を閉じる母。
息子は一人外に出て走り出し、森の中などを彷徨い、家に戻る・・・

静かにゆっくりと流れる時間。
幻想のような情景。
交わされる少ない言葉。

工夫したレンズや鏡を使ったという歪んだ映像。
絵画のように静かにたたずむ映像。

すべては、実際は母を看取れなかった息子の幻覚なのかも知れない・・などと思ったりも。

モスクワ国際映画祭: アンドレイ・タルコフスキー賞、ロシア映画批評家賞、審査員特別賞
全米映画批評家協会: Experimental Film Award
ソクーロフのベスト候補。
世界が異常すぎる。ガリガリ博士を思い出す。
S

Sの感想・評価

3.5
遠くに響く汽笛と大気を裂く風の音がさみしい。静かに世界が去ってゆくからだ。そうして、のっぺりと平板化させられたフィルムの歪んだ世界の内部に母子が閉塞する。今際になって生まれた頃の思い出を訥々と話す母の声を聞いたあとで、息子は一人、淡い太陽の光のなかを彷徨うのだが、よりいっそう酷くなる空間の歪みによって、この光はあたかも母の命のメタファーのように明暗を繰り返しながら息子の形姿にまとわりついているかのようである。しかし映画は暗闇で事切れる。動かない母を見送るにしてはあまりにもロマンチックな言葉のせいで。

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