ハンスウ

ステラのハンスウのレビュー・感想・評価

ステラ(1990年製作の映画)
4.5
これはちょっと前までは観る手段が無い幻の名作だったんですよね。昔観たことがあって、もう一回観たいと思っても国内版のDVDが廃盤になってて。DVDといっても、DVDが出始めの頃のCDと同じ大きさのケースに入っていたヤツです。これがAmazonとかで中古DVDが2万円くらいとかの値段がついていたこともあったんですよ。

本作は「ステラダラス」という古い作品のリメイクですけど、この「ステラダラス」は黒澤明が選んだ100本の中にも入ってますけど黒澤監督はリメイクで主演したベット・ミドラーのこともホメてましたね。「ローズ」でロックスターの役をやった歌がめちゃくちゃうまいおばさんです。「ステラダラス」の主演はコメディからシリアスまでなんでもこなす演技のうまい美人女優のバーバラ・スタンウィックが演じていて素晴らしかったですけど、元ネタとはまったく違うタイプの俳優が演じているというのが本作「ステラ」の成功した理由と言っても過言じゃないと思います。

これは愛の物語なんですけど、親娘の話だとずっと記憶してたんだけど今回見返してみると、母親の娘に対する自己犠牲的で不器用でいびつな愛を描いていたんだなぁと思いました。以前、観た時は終盤からラストにかけては、もう、泣きながら観てたのを覚えています。今回も同じとこで泣いちゃいました。

それで主役のおばちゃん、ベット・ミドラー。この人の存在感が素晴らしい。表情が豊か。この人物が心の中でどう思っているのか、ということが顔の表情を見ているだけで伝わってきます。ダンスからセリフまわしまで器用でなんでもできてしまう芸達者っぷりが堪能できます。親子で「カリフォルニアドリーミン」を鼻歌で歌うさりげないワンシーンがまるで芸術作品みたいだったし、下品に振る舞うシーンでは楽しく笑わせてくれました。俳優としてはそういう力を持ってる人なんだと改めて思わされました。ネタ元を別にしてこれと似た作品を観たことがないくらいです。
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