吉風

燃える戦場の吉風のレビュー・感想・評価

燃える戦場(1970年製作の映画)
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感情の交流なき地獄の活劇。誰もが当たり前のように断絶しきったまま、ゴリゴリの運動に雪崩れ込むのが凄い。クライマックスでは、マイケル・ケインとクリフ・ロバートソンが依然分かり合わないままだ、というだけでは飽きたらず、それを遠くから眺めて無責任とすら感じられる歓声を上げる軍人たち、という観衆まで配置して、アルドリッチは観客を念入りに宙吊りにする(観衆の軍人たちは全員が脇目もふらずに前方同一方向だけを見詰めていて、まるで映画の観客みたいだ!)。個人的には「特攻大作戦」より出来は上だと思う、戦争映画の隠れた傑作。高倉健も熱演。アルドリッチのアップショットは、小津安二郎をぶっきらぼうにしたような感触でやっぱり面白い。
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