吉風

女と男のいる舗道の吉風のレビュー・感想・評価

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)
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なぜだか自分でもよく分からないが、私はこの映画を初めて見た時、「ゴダさん流の溝口健二映画だ 」と思った。今でもそう思う。「女が堕ちていく話だから……」というテーマ的な理由だろうか? とも思えるのだが、いや、やっぱりそれだけじゃない気がするのだ。ラストシーンにしぼって話をすると、溝口ならあそこはクレーンでグワーッと上がっていった後に少しばかりカメラがティルトアップして終、とかだろう。そう考えたゴダールは、溝口っぽい距離感でのロングショット長回しでカリーナが撃ち殺された直後、クイッとカメラをティルトダウンして終、という風に、ちょっと逆から締めくくってみた……というように感じられるのだ。溝口を噛み砕いて自分流にしてから吐き出してみせたような、そんな雰囲気がこの映画にはある。まあゴダールが溝口好きだなんてのは、ずいぶん今更なハナシなのだけれども。
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