主人公のロックウェルP.ハンター(トニー・ランドール)は広告代理店のライターだ。上司にへつらいながら、新しい宣伝を考えている。CMソングに『Old MacDonald Had a Farm』を使おうとする。フランク・タシュリン監督がどこまで意識していたかは分からないが、ひょっとするとレイ・クロックがファストフードブランドを立ち上げる際に《マクドナルド》という名前を欲していたことに対する皮肉とも言える場面だ(フランチャイズとしてのマクドナルド1号店がオープンしたのは1955年ということを考えると偶然の可能性がある)。
「Stay-put lipstick. Stay put put. Stay-put Stay-put Stay-put(口紅を待ってくれ。じっとじっとね。)」と同じフレーズをリズミカルに叩き込むことで視聴者の脳裏に広告が焼きつくようにハンターは歌うのだ。これは『一本満足バー』のCMが10年経っても廃れないのと似ている。「満々満足、一本満足!」というフレーズが成功する広告の本質をついているのだ。