司馬遼太郎の原作は傑作であるが、この映画は「原作を端折り過ぎ」と「無理のある改変」によって原作の足元にも及ばない残念な作品である。
キャスティングも、小みち=栗原小巻はグッドであるが、そもそもの雑賀孫市が中村錦之助は端正過ぎる。
テレビのNHK大河ドラマ『国盗り物語』で孫市を演じた林隆三の印象が強過ぎることもあるが、やはり林隆三の方がマッチしている感じがする。
序盤は、孫市の女性に対して「見えるぞ、見えるぞ」などは原作に忠実であるが、原作ほど好色漢には描かれていない。
何よりも残念なのが、合戦シーンの少なさである。
これでは、雑賀鉄砲衆の凄さが全然わからない。
原作を期待して観ると肩透かしをくらう映画。