このレビューはネタバレを含みます
まさしく現代版オイディプス王ですね。悲劇映画。
天に向かってツバを吐く話です。
多くの敵を殺し、伝説的スナイパーとして活躍した男が、怖れ知らずに生きた顛末を妻であり、母である一人の女性の側から描いている。
『オイディプス王』はギリシャ3大悲劇の一つに挙げられ、確かその妻はその事実を聞いて自殺します。
ギリシャ悲劇の方は短編で、アリストテレスが激賞した事で有名な作品です。
スフィンクスの質問が出てくるアレですね。
それは多くの民衆に支持されてて、人々の代表というか、まさに王の中の王だった。そんな彼でも神の叡智の前ではほぼ無知(自分の母親を妻とした)だったことを示され、戒められる悲劇です。
重すぎる映画と捉えすぎてしまうと、かえって真実から遠ざかりかねない。
この母親は子供たちに父親の話をしたかったんでしょう。けれどもそれを自分の口からは話せなかったんです。
彼女のおばあさんが、愛する孫を殺してやりたいと言ったところから悲劇が生まれた。
ギリシャ人もそうしていたように、こういう物語を心の片隅に置いておくことに意味があると思う。
誰かと話してもっとこの映画の理解を深めたい。