がんびーの

冬の光のがんびーののレビュー・感想・評価

冬の光(1962年製作の映画)
3.9
神の不在を自覚しつつも牧師という仕事を続けなければならない

到底一回で理解できる内容ではなかったからもう一度見ようか。ベルイマンの父親が聖職者であること、そしてベルイマンに虐待をしていたことを考えると、本作品はその父親への復讐とも捉えられる。神に対して、ひいては信仰に対してかなり懐疑的だったのか…。神の返事を待ちながら人間に対して「神を信じなさい」と説くことがどれだけ残酷なことか。自分に都合の良い神を作り出したんだ、とヨナールに告白した瞬間から、教会を照らす光が少し強くなった気はした。

ラストシーン。主人公が罵倒しまくった家政婦の祈りが印象的だった。冬の光が彼女を照らし神秘的な輪郭を作る。「勇気をください」という彼女の祈りは届くのか。信仰は厳しい行為だなと思う。


もう少し読み解けば、もっと深い内容に気がつけるのか。だとすると凄まじい傑作である。もうすでに素晴らしい作品なので。
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