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冬の光の映画のレビュー・感想・評価

冬の光(1962年製作の映画)
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冬の日曜日、聖体拝領の場面から始まり、トーマス牧師の不安定な信仰心を丁寧に描写していく。

スウェーデンの漁村で牧師をしているトーマスは、自分の信仰が揺らいでいることを自覚しながら、聖体拝領の仕事をこなしていく。

直後、神経衰弱の夫を持つ婦人が現われる。夫の名前はヨーナス・ペーション。中国の核開発の記事を読んでから、心が塞いでいる。生きている意味とは、神は存在するのか。トーマス牧師とヨーナスの会話は、次第に立場が逆転して、牧師が自分の過去について懺悔を始めている。なぜ、自分は聖職者になったのか。トーマスが創造した神とは……。

懺悔が終わり、ヨーナスは帰り、窓から、冬の光がトーマス牧師を包み込む。牧師はつぶやく。「解き放たれた、やっと……」冬の光を背に受けて、魂を解放した牧師の顔は神々しい。

数時間後、4人の子供たちを残したまま、ヨーナスはピストル自殺をした。境界の髑髏の装飾品が、死を暗示していたかのように。

孤独で愛に飢えている女教師マッタも見事な演技。

神の存在、生と死、愛という普遍的な主題を凝縮した傑作である。

【メモ】
時計の針の音、トーマス牧師の咳
「神の沈黙」
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