のんchan

イリュージョニストののんchanのレビュー・感想・評価

イリュージョニスト(2010年製作の映画)
3.8
『ベルヴィル・ランデブー』のアニメに心躍ってとても気に入ったので、その流れのままもう1本。
こちらはショメ監督が尊敬してやまないジャック・タチ監督が生前に執筆していた脚本をショメ監督が脚色したもの。

アニメの主人公がユロ伯父さんを彷彿とさせるが、いやこれは晩年のジャック・タチ自身を投影していると感じる。どうしても顔を思い浮かべてしまった。


1950年代、ヨーロッパの各地を渡り歩き芸を披露する老奇術師タチシェフ。自分の芸は時代遅れを感じながらも、ある時、スコットランドの離島の田舎の酒場で興行すると、好評で迎えられ大成功。少しお金も入り、そこで掃除担当している言葉の通じない少女アリスに靴を買ってあげた。
アリスはタチシェフが魔法使いだと信じ、次の興行地エディンバラに向かう列車に乗り付いてくるのだった。
優しいタチシェフはしばらく安宿で同居して面倒をみる。アリスの夢を壊したくないタチシェフは、洋服や物を与えてあげる。すると華やぐ都会暮しに染まって、とうとう彼氏もできるアリス。
今まで2人の間で繋がっていた"魔法"にもとうとう終わりが告げられる時がやって来る...


思いの外、哀愁感が強く、寂しさが募る終わり方だったけど、これはジャック・タチが娘ソフィーに書き遺した脚本だと思うとまた泣けてきた。
どんな世界(人にも物にも)にも終わりがやってくる。
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