日本のアニメーションが漫画の映像化だとしたら、フランスのアニメはバンドデシネの映像化。タッチがぜんぜん違って、俗に言えば「アート」な感じ。また台詞がほとんどなくて、人物の動きや演出で徹底的に魅せる。
ストーリーに関して、なんでこの老手品師は物欲の激しい女の子にやさしく構ってあげるのか……と思っていたら、最後にサラッとその理由を明らかにしてくれる。大それたドラマチックな演出にしないところが良い。
音楽が映像に対して適確に使われている(現実で流れるようにしか音楽が流れないということ。感情を揺さぶる体験をしたときに、頭の中に音楽が鳴り響くということも含めて)のも素晴らしいが、テーマ音楽をシルヴァン・ショメ監督自身が作っているというのは驚いた。