半兵衛

犯罪河岸の半兵衛のレビュー・感想・評価

犯罪河岸(1947年製作の映画)
3.0
ミステリーという視点から見るとテンポは緩めだし、たびたび挿入される主人公夫婦の喧嘩などあまり緊迫感が無いのできついかも。それでも後半のどんでん返しは意外なので「オッ」となったけどね、ただそこから夫婦のやり取りが異様に長いのはきつかったけど。

そういった意味ではこの映画はミステリーやサスペンスより、「倦怠期の夫婦が事件に巻き込まれたのをきっかけにお互いへの愛を再確認する」ドラマとして見るのが正解かも。実際主人公夫婦の描写は細かくて見ごたえがあるし、長いと感じていた夫婦の取り調べシーンも二人がお互いをかばおうと嘘の証言を繰り返す意地らしさがあって可愛らしい。そしてエンディングを肝心の夫婦ではなく、彼らを取り調べる刑事の息子が締めるのが小粋で幸福感を増幅させる。

あと個人的には殺される金持ちの役で日本の小説家で真の天才と呼ぶに相応しい久生十蘭の渡仏時代の先生、シャルル・デュランが出ていたのにテンションが上がった。
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