犯罪河岸の作品情報・感想・評価

「犯罪河岸」に投稿された感想・評価

映像の中の人物配置が見事。冒頭の次々と変わる場面転換も素晴らしいです。映画に出世街道から外れた刑事は数いれどここまで落ちぶれ具合に説得力のある(無能な)刑事というのも珍しいのではないかと思います。

全体的には正直よく出来た作品ではないかなと思います。なにより終わり方にやや不満あり。その真相はいらないかな。
白

白の感想・評価

4.0
思惑の交叉点へと鋭く、卑しく突き立てられる敵意と笑い声が、濃さをまして不透明な暗い空気の膜を揺り動かす。
mat9215

mat9215の感想・評価

4.0
2019/07/07 ウェルメイドのサスペンス。アンリ=ジョルジュ・クルーゾー作品は40年前に『恐怖の報酬』を観ただけだった。少しずつ追いかけよう。

このレビューはネタバレを含みます

金持ちのスケベじじいが殺された。

執拗なじじいから逃れようと、女はシャンパンボトルで殴って去った。
てっきり殺してしまったと思い込んで。

男は嫉妬心にかられて、じじいの家へ行き、血を流して倒れているじじいを見つけて慌てて逃げた。

女は自分が殺したと思い込み、
男は殺してはいないが、じじいの家に行ったのは事実なので、自分が被疑者として疑われるのではないかと恐れていた。

男と女は夫婦。
二人は互いに対しても真実を隠すことになっちゃったね。

二人が犯人ではないことは、観ているこっちは知っているわけで。
だって最初からじじい殺しの犯人は、男の車を盗んだ奴として顔も見せてくれているのだから。

この後に登場する嫌味な警察の強引な捜査や取り調べ、また勝手な供述書の作成にイライラさせられた。
こうして冤罪は生み出されるのだ、という見本のような展開にもヤキモキした。

これ以上有り得ないほどの絶望のドン底に突き落とされた男。
真実を語るが、留置されてしまう。
自分の身に起きたことよりも、女が自分に嘘をついていた事実に打ちのめされた男の焦燥ぶりが実に憐れ。

二人が真実を告白することで、呆気なく「犯人じゃないな」と分かる...んだから、早く告白しちゃったら良かったじゃん。

まあ愛し合う二人が幸せなクリスマスを迎えられて良かった。
その歌唱力と男好きする魅力で流れるように物語へ誘うシュジー・ドレールの、厚かましさと夫への愛情の振り幅に困惑しながらも、劇場や芸人の猥雑さや華やかさに一歩も引けをとらないルイ・ジューヴの重厚さと軽妙さを併せ持つ存在感に惚れ惚れする。そんな嫉妬や勘違いや執念が絡み合った末に大団円を迎えるクリスマスというシチュエーションにちゃんと文化を感じる。
『恐怖の報酬』・『悪魔のような女』などサスペンス映画の巨匠として知られるアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督が推理小説『正当防衛』を映画化した作品であり、なかなか面白い映画だった。

ピアノ伴奏者の男モーリス、彼の妻ジェニー、カメラマン女性ドラを中心に、殺人捜査をする警察が絡んで進む物語。

冒頭、ジェニーが歌うシーンでは、「歌レッスンを受ける場面」→「夫モーリスのピアノで練習する場面」(ここで鏡を使ってジェニーの姿を見事に映す!)→「舞台リハーサル」→「満員の客の前での舞台にて歌い踊る場面」が流れるように描かれる素晴らしさ。

ジェニーがドラにポートレイト写真を撮ってもらうが、出口でブリニヨンという好色爺さんと会う。爺さんは「映画に出演させてやるから明日来なさい」とジェニーに言う。下心丸出しで…。

夫モーリスは妻ジェニーが他の男と親しそうにすると嫉妬するのが強調される。ピアノのレッスン受ける妻の脚に触るな!と怒鳴ったり、契約の件で会おうとするブリニヨンという爺さんに嫉妬したり…。

妻から「祖母が病気だから祖母の家に泊まる」という電話があり、住所を書いたメモを見つけた夫は「ブリニヨン爺さんと会っている妻を想像」して、銃を持ち、書かれた住所に行く。直接行かずに、アリバイ作りに知り合いの劇場に顔を出してから行くあたり周到である。
そして、セントマルシオ館なる家に着くと、既にブリニヨン爺さんは殺されていた。驚いて劇場経由で帰宅する夫だが、自動車を盗まれてしまうあたりはドキドキする。
その頃、妻ジェニーが「ブリニヨン爺さんが迫って来たので、瓶で殴って殺した」とドラに告白している。
そして、警察が本格的に動きだして、捜査が進んでいくのだが……。

なかなか面白い映画だった。
戦後間もないパリが舞台。派手な喧嘩をしながらも夫婦仲の良い夫のピアニスト、妻の歌手が映画会社を傘下に持つ好色家の資産家殺害事件に巻き込まれる。そこに二人のアリバイ作りに協力する夫の幼馴染の女性写真家、事件を執拗に追う殺人課の刑事らの織りなすフィルム・ノワール。

原作はS・A・ステーマンの『正当防衛』。さすがに一筋縄でいかないクルーゾー監督、原作をかなり変更して映画化したそうで、様々なところに伏線を張り、予想外のラストへと向かう。舞台、練習中のシュジー・ドレールの華やかな歌声に魅了され、人情味溢れる渋い刑事をクセのある演技で定評のあるルイ・ジューヴェが演じ、単なるサスペンスにとどまらず、とても味のある良作でした。こちらの作品はフランスのフィルム・ノワールを集めたDVDBOXセットに収録されています。
t

tの感想・評価

4.0
2人の女が階段を登って音楽事務所に求職へ行く、ところから部屋奥の人々へ焦点が逸れていく、その後の事件シークエンスまでかなり面白い。いかにも嫉妬深そうなハゲ夫の見た目にもシャブロル的な快楽が宿る。取調べ中こそ弛緩するも概して楽しめた。鳴り止まない鐘の音の中隣室の血が浸透してくる→女の顔アップという繋ぎに驚く。ラストの引き延ばしも良い。
ラストの抱き合うとこで終わらせないあたりは好きだけど、演出に見所がなくて飽きた。いわゆるアメリカ映画に近い
エーコ

エーコの感想・評価

2.9
野心家で好色そうに見えるが実は夫一筋のシュジ・ドレール、前頭ハゲで冴えないからか嫉妬に狂うベルナール・ブリエ。実はその前頭ハゲに思いを寄せている幼馴染シモーヌ・ルナン。この三角関係に、とある殺人に絡んだ秘密が共有され、それをやたらとキャラの濃い軍人上がりの刑事ルイ・ジューヴェが追い詰めていくというコンセプトは面白い。画面は立体的で、前半は意味不明な雰囲気のショットの連なりもあってかカルト臭も漂うが、後半でかなり善良なミステリになるのでちょっと好みとはズレた。冒頭のタバコの煙で顔が不鮮明になってるブロンド美女から、鏡に反射して5つくらいの像が映りつつ歌う舞台女優への繋ぎは不気味。舞台女優と夫がラブいことをするシーンは仄めかされる程度なんだが、しかめっ面で前頭ハゲな夫と、欲情して口を下品に開ける舞台女優の顔が交互に切り返されて、最後は鍋が吹き出すってもはや意味不明だしギャグになってる。妻一人だけテンション上げすぎ。
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