えにし

犯罪河岸のえにしのレビュー・感想・評価

犯罪河岸(1947年製作の映画)
3.1
人は守りたいものに嘘をつく——というのは俺が敬愛する江國さんの小説の言だけど、その"守りたいもの"というのは最終的に自分であることがほとんどなのだと思う。老人殺しの罪に問われた夫婦とその幼なじみが刑事に追い詰められていく過程で苦し紛れにつく嘘は、"あなたのため"を謳っておきながらその実すべて自分かわいさのためのものであると窺える。きっとそのようなことが主題なのだろうと思っていたのだけど、映画はラスト5分の強引な展開で人情モノとして幕引きを迎える。人々の心が荒んでいたWW2の直後ゆえなのかな。今となってはよくある手法だけど、吹きこぼれた鍋を映すことで感情の昂りを表現するシーンが良かった。
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