ないで

処女の泉のないでのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
4.2
敬虔なキリスト教徒の農場主一家。未婚のまま妊娠した下働きの娘インゲリは土着の神オーディンに祈りを捧げる。一家の清純な娘カリンは、父の言いつけで教会へロウソクを届けるためにインゲリを伴って森へ向かう。

身重のままこき使われているインゲリは終始暗い怒りを抱いている様子だし、カリンは大切に育てられた処女(!)という設定だけど、前の晩自分が踊った相手を覚えていなかったり、妙に父や男たちと距離が近かったりといった不自然さを感じさせる。インゲリはそんなカリンに憎々しい視線を送りながらも、彼女が森へ入ろうとするのを必死で止めようとする。まるで次に何が起きるのか知っているかのように。

・・・インゲリとカリンが同一人物であるかのようにほのめかすことで、後の密室殺人劇の意味合いが重層的に見えてくる恐ろしさ。冒頭の火を起こしてオーディンに祈るインゲリと、ラストに奇跡の泉で顔をすすぐ彼女の姿の対比が人間と宗教の捻れた関係を表しているようにも思いました。ただ、処女性がどうとかを宗教に利用するのってマジでただのクソクラエだよねっていうのは彼女たちの代わりに言いたい。
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