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処女の泉のBOBのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
3.8
イングマール・ベルイマン監督のアカデミー外国語映画賞受賞作品。

「オーディンよ、来い!」

3日連続ベルイマン。

16世紀スウェーデンの豪農一家を舞台に、敬虔なクリスチャンである一人娘👸を惨殺され、復讐に駆られる父親の姿を描いた歴史ドラマ。

罪なき愛娘を殺されて怒り狂った父親は、復讐は神が行うものであり、人は愛と忍耐に生きるべきだと説く聖書の教えに背いて、自ら復讐を断行してしまう。

テーマは神の不在、そしてキリスト教における罪と罰と赦しか。倫理観を失った大人たちと、罪悪感に押し潰される少年の鋭い対比があった。

本作以降、ベルイマン監督作品に不可欠な存在となる名撮影監督、スヴェン・ニクヴィストの撮影が素晴らしい。宗教画を想わせるような洗練された構図、光と影のコントラストを引き立てる見事なライティング、躍動感のある力強いアクション。幽玄な雰囲気を醸すモノクロ映像美に魅了された。

少女のレイプシーンが今見てもショッキング。1960年当時"問題作"とされたことに疑いの余地はない。

力強いオープニングショットが良い。カメラを凝視する主人公の鋭い眼光に釘付けになる。

鍛え上げられた父親の肉体が、ギリシャ神話に登場する神々のような風格を放っていた。

460
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