しゅん

処女の泉のしゅんのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
4.8
再見。シンプルなテーマに象徴的な映像を組み込ませることにおいて、ベルイマンは天才としかいいようがないのでないか。木を倒すシーンも当然すごいが、その後の入浴シーンの効果も半端ない。火、水、煙の印象深さ、顔のアップの不穏さ。本当は誰一人自分の意志で行動できないという人間の本質がゴリゴリ押し迫ってくる。これか『ペルソナ』が個人的にはベルイマンベストです。

二度の殺人において女性の目撃者が反復されている。後に『秋のソナタ』でも現れる目撃のモチーフがここでも強く発揮されており、「誰がが見ている」という状況そのものの意味を考えてみたくなる。

顔を膨らまして火をつけるショットから始まる冒頭の長回しは、カットの多いベルイマン作品の中ではかなり長い方ではないか。
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