もこ

処女の泉のもこのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
3.8
「神の存在を問う」映画は古今東西たくさんあるけれど、それらの中でも今作はわかりやすく、その上名作という凄い出来。
全編通して静かで、ひどいシーンも怒りを貯めているシーンもそれが爆発したシーンもとても静かで素早い。その素早さは「神」を裏切り懺悔するまでの速さであり、人は簡単に神を捨てることができるということなのかなと思いきや、テーレは神を肯定し自らを責め、その上娘の亡骸の上に教会を建てる誓いまですという驚愕の敬虔さ。そして、神はある奇跡を起こす。
今作では嫉妬の感情が全面に押し出ていて、嫉妬していたインゲリの母親は何も無くしてないけど(娘は死んだけど)、嫉妬された方は命を失い、もう一人は復讐心を与えられ苦しめられた。
最後に奇跡は起きるが、それは救済になるのだろうか。「本当に神はいるのか?」観終わってからも、そんな疑問は尽きない。
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